冬も深まり、年明けまであと僅かとなりました。
さて、この時期は冷えから筋肉や節々の関節が硬くなったり、暖かい布団から出るのがおっくうになって動かなくなったりと、何かと運動不足になりやすい時期です。散歩に出るのも寒くてつらい時期ですね。
しかし、一介の個人がお天道様のご機嫌を変えることなどできないので、暖房・厚着・懐炉・湯たんぽ等を駆使して立ち向かうしかありません。こたつに入ったら一日中出てこないという風景は、日本在住なら一度は見た光景かと思います。温まったら動きましょう。
ですが、体を温めるだけでは立ち向かえない冬の天敵がいます。そう、【感染症】です。
この時期に代表される感染症といえば【インフルエンザ】と【ノロウィルス】です。
インフルエンザは一般的な風邪症状に加え関節の痛みや致命的になりうる高熱、流行性感冒の別名に恥じない高い感染力が代表的な特徴ですね。
ノロウィルス感染症は非常に激しい嘔吐と水下痢、凄まじい感染力、アルコール消毒無効など、人類を下痢にさせることに特化したウィルス感染症です。(しかも人の体内でしか増えない――動物実験が行えない――ので、研究も難しいのです。)あれだけ感染力が高いと言われているインフルエンザウィルスは、10000個程度のウィルスが体内に入れば感染が成立すると言われていますが、ノロウィルスは10個程度でも成立すると言われています。
さて、ではどうやって感染を防げばいいのでしょうか?
答えは単純、体内に入れないようにすればいいのです。
では、どのようにすれば防げるのでしょうか?
うがい・手洗い・マスク
非常に単純でメジャーですが、効果的だからこそ昔から奨励されているのです。
先人の知恵というものは、その多くは経験則で語り継がれたもので論理的な裏付けのない物も多いのですが、そのほとんどはそうするべき理由を見出すことができるのです。
さて、では手洗いがどれほど有効なのか?疑問に思われる方も多いでしょう。
石鹸で手を二度洗いした場合、1000000個ほどのウィルスにまみれた手も10個以下程度まで減らすことができると言われています。一度洗いでは100程度残ると言われています。
アルコール消毒は二度手洗いほど劇的ではありませんが、それでも相当数を減らすことができます。
さて、ウィルスを自ら口に運んでしまうリスクは手洗いによってかなり減らすことができることがわかりましたね。しかし、年がら年中四六時中水道の前に陣取って手を洗い続けるわけにはいきません。現実的に、水道から離れた手洗いから手洗いまでの間に、ウィルスが手についてしまい、それを口に運んでしまったりしたら……せっかくの手洗いが元の木阿弥です。
そこで、有効なのがマスクです。マスクは飛んでくる飛沫を防ぐ、または他人に飛ばさないようにするのが目的ですが、実は地味な効果として「汚染された手で口に触るのを防ぐ」効果もあります。手洗いから手洗いまでの間、ウィルスが入るのを防ぐ関門になってくれるのです。また、呼吸する空気の湿度を保ち、喉の乾燥を防ぐ役割もあります。
そして、うがい。ウィルスは体内に入った瞬間に感染するわけではありません。たとえ体内に入ったとしても、感染が成立する前に洗い流してしまえば感染は防げるのです。
手洗いは素晴らしい劇的な効果でもって、ウィルスを取り除いてくれます。しかし、その効果を高めるためにはうがいやマスクによる補助が欠かせません。
親戚が一堂に会したり、初詣で人ごみの中に出かけたりすることの多いこの時期。
わずかな水と、石鹸と、薄い紙切れ一枚のマスクが、命と楽しい思い出を守ってくれます。現代科学に裏打ちされた先人の知恵でもって、来年も健やかな一年となる事を願っております。
来年もよろしくお願い申し上げます。
今回のブログは、理学療法士 荒井 が、担当しました。